宅浪を科学する

地方出身の私は、一度入った大学を辞め、浪人を決意、地方での宅浪・二浪の末、一橋大学に入学しました(現在は卒業)。宅浪を成功させるための方法論は「科学的アプローチ」です。

宅浪生にとっての孤独と他者との関係性について思うこと

1.宅浪生の孤独

浪人生にとって孤独はつきものです。特に、特定のコミュニティに属さない宅浪生は猶更でしょう。

 

孤独は人間の基本的な身体機能を阻害することがわかっています。孤独感を感じることは、人間の注意力を奪うという研究結果もあります。孤独感は人間にとって最も忌避すべき感情の一つでしょう。

 

有名な理論として、マズロー自己実現理論あります。

 

 

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人間が自己実現を欲するためには、段階を経て5つの欲求を満たす必要があるという理論です。

 

自己実現欲求(Self actualization)

・承認の欲求(Esteem)

・社会的欲求/所属と愛の欲求(Social needs/Love and Belonging)

・安全の欲求(Safety needs)

・生理的欲求(Physiological needs)

 

(Mathlow`s hierarchy of needs)

 

下の項目が低次欲求。上に向かって高次欲求となっていきます。マズローは、低次の欲求が満たされない限りは、高次の欲求に向かうことはない、と主張しています。

近年では、マズローの5段階の自己実現理論はその主張において正当な根拠は薄いといわれていますが、根本的な理論の考え方としては非常に的確なところをついています。

私自身、宅浪時代は孤独との闘いで時に「志望大学に行きたい」というモチベーション以前に、「誰かに必要とされたい」、「誰かとつながり合いたい」という欲求が強くなったものでした。

「あの大学に行きたい」、「こういうことを成し遂げたい」という自己実現欲求の前には、社会的欲求の実現/所属と愛の欲求が必要であるというのも、あながち間違いではないと思います。

 

2.人類の原始と孤独

誰かとつながり合うということは根源的な欲求です。人間は原始の時代において、集団の力によってその繁栄を遂げました。

 

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

 

「サピエンス全史」でも紹介されていますが、人間は原初において、その他の生物となんらかわらない「種」でした。その死亡率は他の種よりも高く、時に獰猛な獣に殺され、寒い洞窟の中で身を潜め暮らしていました。

或る進化の過程で、言語野の脳機能が発達し、人間は言葉を獲得しました。この「言葉による集団化」と、言語による「伝達機能」によって、人類は種としての発展を遂げました。言語による精緻な情報伝達が、きわめて複雑な狩猟戦略と、詳細な危機の伝達を可能にしたのです。

つまり、「集団化」と「言語による意思疎通」、これが人類の生存戦略の絶対的必要条件でした。そのため、本能的に、孤独でいることを忌避するように我々はプログラミングされています。原始の時代において、孤独でいることは死を意味していたのです。

現在でも我々は、孤独であることに強い恐怖感を覚えます。孤独は、原始の時代から遺伝子に刻み込まれてきた恐怖の対象です。

孤独であることは、私たちにとって非常に強いストレスなのでした。

 

3.つながり合うことの重要性

私は現在とある宅浪生と受験についてのやりとりをしています。

その中で強く感じるのが、「宅浪生とメンター(助言者)の関係性とは何か」という感情です。人間にとって、自分の存在を認めてくれる第三者の存在は、本能として欲するところのものです。しかし、本能としての感情以上に、第三者の存在は大きな意味をもつのではないか、そして、メンターにとっても、相談してくれる第三者は大きな意味を持つのではないかと思っています。

私自身、宅浪生とやり取りをする中で、ある種の連帯意識を感じています。志望大学に受かるという宅浪生の目的は、いつしか私にとっても共通目的となりました。ある種の仲間意識のような感覚です。日々相談を受け、アドバイスをし、苦労を共有する。こうした日々のやりとりは、確かに何らかの「つながりの深化」を意識しています。

心理学でもよく言われていますが、共通の目的に向かう人に対して人間は、無意識化で好意を感じるという心理反応があります。私が今感じている宅浪生への仲間意識は、こうした心理反応の現れでしょう。とはいえ、受験相談の中で私自身、強い充足感を感じています。誰かの助けに多少なりともなっているという感覚が、私に充足を与えているような気がしています。

4.孤独を感じる貴方へ

あなたが孤独に感じているとしたら、あなたという存在そのものに対して、ダイレクトその存在を認めてくれる第三者を見つけてください。

そして、あなた自身はそうした人に対して、「相手の時間を奪っていないだろうか」といったうしろめたさを感じる必要はないのです。現に私自身、宅浪生とのやり取りの中で、むしろ「助言に時間を使うことの充足感」を感じられています。あなたの苦労を打ち明けることは、相手が強い充足感を得られることにつながる手がかりに成りえます。貴方の存在は、貴方の苦労は、相手の迷惑にはなりません。

相談者と相談される者の間にはつながりが生まれます。つながりは何らかの形で変容を遂げ、「私」と「あなた」という関係へと変貌を遂げます。そのつながりは深化して、たしかな絆になります。絆はきっと、双方にとっての充足感になり得るのです。

 

最近は、Twitterでも「浪人生」、「〇〇大学志望」というキーワードでプロフィールを記載している人は大勢います。その中で同志を見つけるのもいいです。昔の友達に連絡をとってみるでもいい。なんだったら2chの浪人掲示板でもいいです。

指導者を探す場合は、ビザスクやココナラというサービスもあります。Studyplusといったサービスもありますし、受験相談をできるプラットフォームなんて数限りなくあります。つながり合うきっかけの場は非常に多いのです。

貴方にとって第三者は必要であり、第三者もきっとあなたを必要としてくれます。恐れず、不安がらずに、他者とつながりを持ってください。

 

5.まとめ

孤独は忌避すべき感情です。受験勉強戦略的にも孤独を避けることは集中力向上の面、そしてメンタルの安定の面で重要です。

また、蛇足ですが、第三者に直接語り掛けられるのは強いインパクトがあります

私も経験があるのですが、不特定多数向けに書かれたネット記事より、自分という存在に対して直接語り掛けてくる第三者の言葉の方が、強い影響力があります。

「朝型の勉強に切り替えたほうがいい」という記事を呼んだ場合と、信頼できる教師から言われた「受かるなら絶対に朝型の勉強がいいよ」という言葉、果たしてどちらが響くでしょうか。信頼のおける第三者との関係を作っておく、というのは、自分の行動を改善するきっかけの一つです。今勉強が停滞していて、改善するきっかけがつかめないなら、信頼できる第三者からの助言はいいきっかけになり得ます。

 

私自身も相談を受け付けていますのでいつでも連絡をください。待っています。

 

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