宅浪を科学する

地方出身の私は、一度入った大学を辞め、浪人を決意、地方での宅浪・二浪の末、一橋大学に入学しました(現在は卒業)。宅浪を成功させるための方法論は「科学的アプローチ」です。

プラットフォームの威力 ~宅浪・浪人生が成功するためのツール~

最近、新たに一人、宅浪生として浪人を頑張っている方の相談に乗っています。

 

私自身もそうだったのですが、宅浪生はその孤独さ故に、「自分一人で何事も頑張ろう」という意識がある人もいると思います。一人で頑張ろうと考える理由として、自分への多少の過信もありますし、周りに頼れる人がいない、という理由もあると思います。

 

私自身、「せっかく宅浪としてやるんなら、何にも頼らずに独学で絶対合格してやる!」という謎の気合をもっていた頃もありました。通信衛星予備校の授業を受けることすら「甘え」と考えていた時期もあります。

 

また、一般の浪人生も、予備校の眠い授業を受けたのち、「これなら一人で勉強した方がマシだ!」と考えて、一人で自己完結した受験勉強を送ろうとしている方もいらっしゃるかと思います。

 

今日は、そんな「一人で頑張ろう」と考えている方、「周りに頼れる人がいない」方、「受験で何かに頼るのは邪道だ!」と考えている方向けにプラットフォーム(土台)という考え方を伝えようと思います。

 

先に今回の記事の趣旨を言ってしまうと、あらゆる分野で成功する最短の方法プラットフォーム(=自分にとって最良と判断する既存のツールや環境)利用することであるということです。

 

1.プラットフォーム(土台、高い足場)  

 

 

 

 

プラットフォームとは、土台高い足場のことを意味します。すなわち、「背の高いところに手を伸ばすために利用する土台」のようなものです。

転じて、何か物事を行う際に、「労力をかけることなく簡単に目的を達成してしまえるための土台となる環境や道具」を指すことが多いです。高い足場に乗れば、ジャンプ力が高くなくとも高いところに手が届きますね。ジャンプしなくても高いところに手が届いてしまう、それがプラットフォーム(土台、高い足場)です。

 

人間は歴史上、いろんなプラットフォーム(土台)を作ってきました。例えば、草や木をかき分けなくても済むように、道を開拓して通りやすくしておく道路もそうです。時計も、いちいち太陽の角度などから計算しなくても時間を把握するための道具です。人間が作ってきたありとあらゆるものは、広義の意味でプラットフォーム(労力を節約するための土台)だと言えます。

 

学校や大学といった教育機関も一種のプラットフォーム(土台)といえます。これらは、若者に読み書き算数や、専門技能を体系的に教えることで、職業人としての能力を育てることができる環境でもあります。建築を学びたかったら、独学で苦労して学ぶより、著名な教授から建築を効率的に、かつ体系的に学べる建築学部に行く、といった具合に、大学などの教育機関は、プラットフォームの役割を果たしているとみる事ができます。

 

 

プラットフォームは、少ない労力で最大の成果を上げるために利用するものです。

 

「SMARTCUT ~時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人~」(ショーンスノウ/講談社)では、プラットフォームを上手く利用することが、成功する人に多い条件の一つだということが述べられています。

 

 

 

2.プラットフォーム(土台)の威力  

 

プラットフォームの威力は、多岐に渡ります。

 

アメリカの名門、ハーバード大学から世界的に有名な研究者や経営者が多数輩出されているのは、入学する生徒の質が高いためだけではありません。ハーバード大学教育機関としての質が非常に高いこと(教授の質や、質の高いカリキュラム)や、学生間のネットワークが大変濃いこと(優秀な生徒同士のコミュニティ)、などがその大きな理由となっています。つまり、ハーバード大学はプラットフォームとしての質が大変優秀なため、最初から高い階段からスタートを切り、階段を飛ばし飛ばしで駆け上がれる環境であるのです。

 

フィンランドは、数学、理科、読解力の国際的な調査で首位ですが、驚くべきことに、フィンランドでは就学年齢が他国と比べて一年遅いつまり他国と比べて一年遅く学校に入る)上に、一日の授業数や授業時間も少ないのです。つまり、必要最小限の努力で、労力をかけることなく世界的首位の学力を子供たちにつけることに成功しているのです。

調査により、フィンランドの学校は、大変質の高いプラットフォームであることがわかっています。

 

「ここの子どもたちは、自分の将来を設計するセンスも極めて高い」とワグナーは評価する。自分の人生を自分で切り開く”起業家精神”を叩き込まれる。たとえて言えば、従来の教育は、工場のラインにぼんやりと立って、流れてくる知識を右から左に渡すだけだった。かたやフィンランドの教育は、レンガの山を子どもたちに見せて、さあ城を造ってみようと呼びかける。

 

修士以上の優秀な教師が、暗記ではなく、道具と問題解決術を手ほどきする。このようにして、フィンランドは、高度な教育のプラットフォームを築き上げた。だから子どもたちは、いきなり階段の高い位置から上り始められる。これが世界ナンバーワンの秘密だった。

 

(SMARTCUT ~時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人~/講談社/p138)

 

以上は、プラットフォームの質は、ものによっては人の能力を伸ばす非常に強力なファクター(要因)となりうる一例です。

 

 

3.プラットフォームの質を見極める  

 

ただ一言、留意しておきたいのは、プラットフォームにも質の高いものとそうでないものがあるという事実です、プラットフォームを利用するのであれば、必ずそのプラットフォームが自分にとって有益なものかどうかを見極める必要があります

 

 

例えば、予備校について、大手予備校と地方の中小予備校では、そのプラットフォームの特性に大きな違いがあります。「宅浪をしているあなたが、合格にこぎつけるために~正しい情報を入手する」でも少し触れていますが、地方の中小予備校では、目指したい大学が難関大学の場合、その大学に受かるための情報や授業メソッドをもっていない場合が多いのです。これは、単純に先生の質もそうですが、基本的に地方の予備校は、その地方への大学進学をする生徒が圧倒的に多いため、地方大学に受かるための授業がメインであり、難関大学へ受かるための授業をする必然性に乏しいのです。

 

これは、プラットフォームの質というよりは、プラットフォームの特性上の違い、といったほうが良いかと思います。

 

つまり、あなたがもし難関大学合格への切符をもぎ取りたいなら、自分にとっ質の良いプラットフォームを見定めることが必要です。

 

例えば、私が宅浪のような状況でおすすめするプラットフォームは、「宅浪をしているあなたが、合格にこぎつけるために~正しい情報を入手する」でも述べているように、東進や代ゼミといった大手通信衛星予備校が持っている、「大学別に特化した対策講義」(例えば、「早稲田大学英語」「東京大学数学」)などです。

こうした講義は、他の大手予備校から引き抜かれた、通信衛星予備校の中でも選りすぐりの講師が、統計的な手法や長年生徒を見てきた経験を駆使して、「志望大学に合格するための最短コースの授業」と「志望大学に合格するために絞るべき分野や演習方法」をしっかり教えてくれるのです。(ただ、授業によっては、大学別対策と謳っていても、合格の為に絞るべき分野などを一切教えてくれないダメ授業もあるので、ダメだとわかったら見切ることも必要です)

 

個人的には、志望大学に合格するための最短コースの授業」と「志望大学に合格するために絞るべき分野や演習方法」がなければ、質の高いプラットフォームと呼べる条件を満たした講義ではないと考えます。

 

 

4.私の宅浪時代の話  

 

具体的な話をすると、私は代ゼミの一橋数学の講座を受けることで、一橋では「整数」、「関数」、「図形と関数」、「確率」といった分野が、非常に変わった形式で出ることを知りました。この非常に変わった形式について、「知っていなければならない解法」が多数存在することも知りました。さらに、この「知っていなければならない解法」は、普通の数学の教科書にはまず乗っていないもので、青チャートで何ページかだけ書いてあるもの、といった少しマニアックなものも含まれていたのです。一橋数学を攻略するには、この「マニアックな解法」を知っている必要がありました。

 

こうした事実は、代ゼミの大学別の通信講座を受けていなければおそらく知りえなかったと思います。大手予備校が持っている情報というのは、大学受験に置いて確かに価値があるものなのだ、私自身痛感しました。

宅浪をしているあなたが、合格にこぎつけるために~正しい情報を入手する 」で私が述べた内容です。

 

 

 

 

5.まとめ  

 

受験勉強においても、プラットフォームを利用することで、少ない労力で最大の成果をあげることができるのではないかと私は考えます。これが冒頭で述べた、『「一人で頑張ろう」と考えている方、「周りに頼れる人がいない」方、「受験で何かに頼るのは邪道だ!」と考えている方』向けに伝えたい内容となります。

 

また、予備校の授業だけでなく、いろんなプラットフォームが世の中にはあります。例えば、優秀な家庭教師や塾講師も一種のプラットフォームでありえますし、受験勉強に特化した情報コミュニティサイトも一種のプラットフォームです。このブログもその一つだと皆さんに感じてもらえれば、私自身も大変恐悦至極です。

 

Ruby on Railsというプログラミングフレームワークがあります。これは、「最短のプログラミングでウェブサイトやアプリケーションを作るための道具」として開発されました。これを使うことで、普通は数か月、一年ほどかかっていたウェブサイトのプログラミングが、なんとたった数日間でできるようになってしまった事例もあります。この事例が皆さんもおそらく使っているだろうTwitterです。Twitterのプロトタイプ(試作品)は、とあるベンチャー企業の経営者が本業の片手間にたった数日間でつくってしまいました。これが技術という既存のプラットフォーム(土台)を利用した一例です。

 

「世の中にはすでにさまざまなものが用意されている。それを利用すればいい。すでに誰かが一生懸命頑張って作ってくれたのだから。そのうえで、自分なりの成果を上げればいいのだ」

(ハイネマイヤー=ハンソン: Ruby on RailsというWebアプリケーションフレームワークの製作者)

 

浪人の相談など、いつでも受け付けていますので、お気軽に連絡ください。浪人生の悩み、宅浪の悩み、現役生の受験相談など、なんでも大丈夫です。

 

それではまた。